軽貨物運送業の仕事内容
軽貨物運送とは
軽貨物運送業の仕事内容は、軽バンと呼ばれる軽車両で配達することが最大の特徴です。業務内容は大きく分けて2つに分類する事が出来ます。宅配と呼ばれるBtoCと企業配と呼ばれるBtoBの2つです。
- 企業配(BtoB):代表的なものだと『アスクル』『モノタロウ』と言ったものがあります。決められたルートを利用し、企業や学校へ精密機器や文具類の配達を行ったり、また、問屋や商店と定期契約を結び商品の配達を行う場合もあります。
- 宅配(BtoC):代表的なものとして『ヤマト』『佐川』があります。こちらは馴染みのある方も多いのではないでしょうか。皆ご存じのAmazonも宅配で運ばれています。
今あげた、アスクル・モノタロウ・ヤマト・佐川と言った業者ですが、全ての荷物を自社社員で運んでいる訳ではありません。
業務委託と呼ばれる契約で中・小規模の軽貨物運送業者に委託して配達しているのが、軽貨物運送業の特徴といえます。
軽貨物ドライバーの仕事の種類
軽貨物ドライバーの仕事で主な業務の1つは宅配便です。ヤマトや佐川、日本郵政といった宅配業者から委託された荷物の配達を行っています。
最近の代表的なものでは、Amazonの独自配送モデル『デリバリープロバイダ』が有名です。メルカリ・楽天・Amazonと言ったECサイト市場が伸びている現代において、宅配もまた一緒になって伸びている業態になります。
その他、ネットスーパー配送、一部ではドン・キホーテも、軽貨物運送を活用した配送モデルを出してきています。地域のスーパーなどの実店舗とECサイトを合わせた取り組みが、よりEC市場を広げ、軽貨物運送の新しい可能性を見出してきています。
企業配は、アスクル等の倉庫から企業やお店に事務用品や備品を配送していく仕事です。飲料水やコピー用紙など重い荷物が比較的に多いです。配達ルートが決められている為、宅配よりも始めやすいです。届け先が不在の可能性も先ずありません。
軽貨物ドライバーに必要な条件とは?
軽貨物ドライバーになるのに必要な免許は普通免許のみです。
また、業務委託の場合は仕事に用いる軽車両を自分で用意する必要があります。
軽貨物輸送を始めるには、「黒ナンバー」と呼ばれる、営業用の軽自動車に使われるナンバープレートの取得が必要になります。運輸支局に必要な書類を用意し、届け出を行わなければなりません。
貨物自動車運送事業法の第2条に詳細が記載されています。
この作業、そこまで難しくは無いですが、面倒じゃないですか?
安心してください。
最近の運送会社は、仕事用の車両の貸出やリースを行っている場合もあります。その場合は、新たに車両の購入や黒ナンバーの取得は必要ありません。長期的に取り組むのであれば、購入の方が良いですが、最初のうちはレンタルで始める事をお勧めします。理由は、自分に向いてなかったときに、車を所有していたら処分に困るからです。
慣れてきてから購入を検討する流れでも、全然間に合います。むしろ、3年間、私はレンタルでやってきました。
軽貨物ドライバーで月収100万稼いだ経験談
最初に言っておきます。誰でも月収100万円は不可能です。
理由は、それを達成する為の条件が揃う必要になるからです。
先ず、月収で100万を達成するには、いろんな経費もある為、月商で140万稼ぐ必要があります。
¥56,000/日を、25日間働き続けるだけの、メンタルとバイタルが必要です。
多くの人にとっては、月商80万でも心を砕かれるので、この2つは絶対的に必要になります。
そして、稼ぐ為の環境です。
どんなに努力しても、物理的に不可能なら達成できません。
私は、当時、環境とメンタルが共に整っていたために成し遂げた為、誰でも出来るとは思いません。
当時は、週休1日かつ、不在もある為、実質的1日の配送数が280~330個とかなり厳しい条件になっています。一日あたりの配送個数の平均は150~200個程度なので、月収100万円稼いでいるドライバーはほぼ皆無と言えます
先輩ドライバーに聞いた『昔は年収3000万』だった話
私が勤めていた現場に、今は経営陣として仕事を行っている人が居ました。
その人と話をしていた際、昔話を聞かせてもらったんですが
当時、バブルと呼ばれていた時代は、今よりも遥かに簡単な業務で年収3000万までいった事があるそうです。
その人も、現場環境に恵まれていたと話していました。
今は、それに比べると高いレベルを求められ、稼げないよねという話が今も覚えています。
軽貨物運送業の現状
最近の需要の増加
EC市場の成長を背景に、軽貨物ドライバーの需要が増加してます。
運送業界ではドライバーの高齢化が進んでおり、慢性的な人手不足に陥っています。しかし世の中では、Amazonや楽天など、EC市場の成長によって配送する荷物の量が増加しており、荷物の配送が追いつかなくなっている運送会社が多いです。
そういった事がある為、体力のある若手ドライバーは、逆にチャンスでもあります。
先輩の事例や、私の経験があったように、まだまだ稼ぐチャンスがある業界であると私は睨んでいます。
収入が自分の努力に比例する
軽貨物ドライバーの給料は業務によって変わります。車建てと呼ばれる日当制と、個建てと呼ばれる歩合制の2パターンです。個建てであれば、配送する荷物に比例して給料も上がります。
初心者のうちは、作業に無駄が多いのでそこまで稼げません。業務をこなしていく中で、運転技術の向上と、効率的な配送が出来れば給料が上がっていきます。月収100万円は無理でも、月収70万なら十分、男女問わず射程圏だと思います。
月収70万でも、生活はかなり安定するので、悪くは無いですよね。
軽貨物運送業が稼げないと思われる理由
— 『昔に比べたら稼げないよね』
昔のバブル期に比べたら、確かに稼げないです。
業務単価も大きく下がり、多くの数をこなすだけの技術が求められるようになりました。そういった点が、割安感というものを与えてしまっていると考えられます。
— 車の維持管理費がかかる
軽貨物ドライバーが稼げないと思われる最大の理由は、車の維持管理費の存在が挙げられます。
こういった維持費などの経費を差し引くと最終的な手残りが少なくなってしまため、軽貨物ドライバーは稼げないと思われやすい傾向にあります。
軽貨物運送の主な経費
車に関してかかる経費
— ガソリン代
軽貨物輸送では燃料代が最も大きな負担の1つになってきます。
1日150km~200kmを走る軽貨物車両のガソリン代は
燃費を15km/L
ガソリン価格を130円
と仮定すると一日に1300円~1720円かかります。
週休二日で月の稼働日数が22日とすると28,600円~37,840円です。ガソリン代は世界情勢によって価格が左右されやすいです。中東で戦争や紛争が起きた場合、ガソリンの価格は急騰します。今回、コロナショックの際、110円/Lまで激減しました。これは、普段、原油販売は量を制限する事で単価を上げているのですが、コロナで売れなくなり、値下げ競争になったのです。
悪いことばかりではないという事ですね。
— オイル交換代
軽貨物車両を永く使う為に定期的なオイル交換が必要になります。オイル交換を怠ると、オイル漏れやエンジンの焼き付きが起きやすくなります。
一般的にオイル交換の頻度は走行距離5,000kmにつき1回ですが、自分の経験上、3~4ヶ月でそれぐらい走ることになり、3か月でオイル交換が必要になります。費用は車種や使用するオイルによって異なりますが、自分は一番安いオイルをガソリンスタンドで交換して1回7,000~10000円程度で、行っています。
ただ、提携している工場だと、もっと安くなりますし、オイル自体は2700円~5000円でいろいろ売っている為、自分で交換するなら安く済ませる事が出来ます。
— 車両維持費
エンジンオイルの点検のほか、タイヤやバッテリーの状態を定期的に確認して必要なら交換しましょう。タイヤの交換代は4本で12,000円程度、バッテリー交換の費用の相場が20,000円ほどになります。
また、エアコンフィルターの清掃や、冷却水の確認と交換も定期的に行いましょう。
— 駐車場代
軽貨物車両を駐車するためのスペースを用意しなけする必要があります。都心部での駐車場代は、東京都内の月極駐車場の賃料は12000~30,000円になります。
始めたての頃の私は、基本昼間は仕事で使う為、一晩300円の駐車場に止めて、月9000円に抑えていました。
— 自動車保険代
車両保険に入るのは必須事項となります。自賠責保険は車を購入した際、必ず加入する義務があり、任意保険は業務先が必須条件として提示しています。黒ナンバーの車両の保険代は自家用車より高くなり、月々約25,000円払う必要があります。自家用車よりも稼働率が高い為です。
また、輸送中に破損した荷物の補償をしてくれる、貨物保険があります。
— 車検代
軽貨物車両も普通車両と同じように必ず車検を受ける必要があります。軽貨物車両の車検期間は2年です。車検時に、点検整備や不具合の修理も行うので、車検費用は7万~8万円円が相場になります。
手数料などの経費
基本的に実働部隊で正社員というのは、軽貨物運送業では見かけません。正社員は基本管理です。業務委託という契約で仕事を卸す形になる為、その際に運送業者へ手数料を支払うことになります。
手数料の形態ですが、売り上げから何割かを支払う変動費の場合と、毎月同じ金額を支払う固定費の場合に分かれます。手数料相場は運送業者によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
運送業者を選ぶ際、手数料の数字が安いからという理由で決めると、入った後が厳しくなります。
運送業者も、自分たちの経営を安定させる事を考えていますし、これはあくまでも最初に決められたルールである為、後々、自身の業務における功績を評価し、収入に還元される仕組みと風土が会社にあれば問題ありません。
運送業者と、業務委託はビジネスパートナーです。お互いに高めあえる関係を築いていけばいいのです。
個建てと車建て、荷物単価と収入の相場
個建て
個建てでは、荷物を1個配達するたびに歩合給がもらえます。宅配の仕事では荷物の配送単価の相場は120円~150円になります。
私が年収1千万を超えた時は個建てで、単価200円を超えていました。細かい数字などは、業務情報をどこまで開示して良いのか際どいので伏せておきます。
車建て
車建てでは、日当制となっており、¥14,000~¥15,000が相場です。現在私が行っている業務は、¥20,000を超えているので、中には高単価のものもあります。
『稼ぐ』という事にフォーカスをするなら、個建てが良いですが、現状、車建てのモデルが定着しつつあるので、案件事態は限られてきています。
T-MY EXPRESSでは、個建ての案件や、独自の計算方式の個建て案件など取り扱っているので、気になる方はメッセージを飛ばしてくれればご案内します。
軽貨物ドライバーの平均年収と年収例
軽貨物ドライバーの平均年収は380万円になります。
私が無理なく稼ぐとしたらどれくらいの年収になるか例を紹介します。
- 単価150円、1日の配送件数が200個、手数料が15%の場合だと、委託料は150×200×0.8=25,500円になります
- 月々22日働いた場合の年間売上が25,500×22×12=673万円になります。
- ここからガソリン代を引いていきます。月々のガソリン代を5万円とすると年間で50,000×12=60万円になり、それを売り上げから引くと613万円になります。
- さらにここから、保険料が月10,000円、駐車場代が月20,000円として、10,000×12+20,000×12=36万円などの経費を差し引いた金額577万円が手取りの年収となります。
これくらいであれば、1日8~9時間、昼休憩を挟みながら稼げます。直近で入ってきた24歳の男性も、これくらいの能力がある為、悪くないと思います。
軽貨物ドライバーの平均月収と月収例
軽貨物ドライバーの平均月収は29万円です。私の直近の月収を紹介します。今回は車建てになります。
- ¥23000円/日、1日の配送件数は約150個です。荷物単価にすると150円/個です。
- 手数料が15%で、月々25日働いたとして、売り上げが23000×0.85×25=48万円になります。
- 月のガソリン代3万円を引くと、45万円です。
- 保険料を20,000円、駐車場代を23,000円、レンタカー35,000円、それらを引いた金額37万円が手取り月収となります。
今は月100万稼いでいません。上の数字を見て分かるように、1人で2~3人分の業務をこなして居たからこそ、成し遂げたものなので、疲労が凄いんです。
1年振り切ったので、今は身体に負荷をかけずに働いています。気楽にやって、月37万なら、文句は無い数字だと思います。
軽貨物ドライバーで稼ぐには何をしたらいいか
軽貨物ドライバーの手取りは委託先によって異なります。
もし、あなたが稼ぎたいという事なら、個建てで稼げる業務をオススメします。日当だと上限が決まってしまう為、努力でどうこうできません。最初のうちは要領を得ず稼げないと思いますが、慣れてしまえば、どこの現場でも即戦力となり、初めてのエリアでも180個は配れるようになります。今からやって、要領が良ければ3か月で50万は稼げます。
軽貨物運送業の魅力って何なの?
荷物が軽い
軽貨物運送で運ぶ荷物は基本小さく軽めで、女性でも取り組めるようになっています。楽天やAmazonを想像してください。あの独特なロゴの入った段ボール、そこまで大きくは無いと思います。軽貨物車両に積み込めるサイズで荷物は軽いものとなっています。そのため、荷積みや荷降ろし作業の負担が軽く、他の運送ドライバーと比べて体力的に楽です。
1人の時間が作れる
軽貨物ドライバーは基本1人で働きます。倉庫で荷物を積み込むところから、お客様に運ぶところまでずっと1人です。最近だと、宅配ボックスや置き配達の習慣が生まれてきたので、お客様と接触する事も減ってきています。
人と接する事を極力避けたい人なら、そこは魅力の一つです。
旅行が楽しめる
軽貨物ドライバーの業務には、チャーターと呼ばれる長距離移動の仕事があります。これは、他の地方に荷物を届ける仕事で、交通費も含まれています。たまに入れて旅行に行けば、安い交通費で楽しめるので、メリットがあります。
軽貨物ドライバーは転職がしやすい
ECサイトの普及によって運送業の仕事数は増えてます。仕事に対し、宅配ドライバーは不足しているため、ある程度の経験があるドライバーは簡単に採用されます。
こういった背景から、軽貨物ドライバーは転職に苦労することはありません。
軽貨物の仕事は誰でも始めやすい
軽貨物運送業の仕事は始めるハードルが低いです。必要な資格は普通免許のみで、軽自動車があれば誰でも業務委託ドライバーを始められます。
特別な資格スキルも必要なく、学歴や経験も問われないので、未経験の人も安心して挑戦可能です。その気軽さから女性も安心して働けます。
月収100万になった時の働き方
時間の使い方
1日280個以上の荷物を運ぶ為には、効率の良い時間の使い方をしなければなりません。32個/時のスピードを意識しながら、1秒短縮する事にこだわりを持って、一件一件配達します。また、休憩時間を取らないと眠気だったり、集中力が落ちて効率の低下や、事故のリスクが増えます。休憩のタイミングを設定しておいて、それまでに100個運びきるというように、明確な目標を設定する事で、休憩時間を確保する事が出来ます。
配達エリアの特徴を覚える
自分が担当するエリアの特徴を覚えることは、時間短縮において重要です。道を覚えることで、配達に行くルート設計を即座に組み立てる事が出来るので、時間を短縮する事につながります。また、時間帯によって混む道などを把握しておくことも大切です。
初心者は先ず、地図やグーグルマップを使って、ルートを固定化させる事を勧めます。ルーチンワークにする事で、時間短縮しやすくなります。
仕組みが整った会社で働く
軽貨物ドライバーに業務委託する運送会社は、会社ごとに荷物の単価や手数料が異なります。手数料を安く見せても、実際に仕事の受注先である大本から、各会社に支給されている契約金額は何処も同じです。名目を変えて徴収しているので、手数料10%だから低いという数字はあまり当てには出来ません。
『稼ぐ』という話で言うなら、見るべきポイントは『仕組み』『高単価業務の取り扱い』『エリアの確保場所と確保数』です。
『高単価業務の取り扱い』―Amazonや楽天が現在、高単価案件として上がっています。
『エリアの確保場所と数』―頑張れるのに荷物が少なければ、努力のしようがない為、物量の多い地域を確保している会社なのか?どれくらいのエリア数を任されている会社なのか?そこが稼げるかどうかの分かれ目となります。
目標設定をし、ゲーム感覚でやる
軽貨物ドライバーは、沢山の数を運ぶことが収入に直結します。来月までに時間20個運べるようになる!次は25個!というように、目標を明確にすると集中力が上がる為、結果的に収入が上がってます。
私の場合、時間15個の壁、時間20個の壁、時間25個の壁、30個の壁、35個の壁と壁がありました。時間25個を超えてからは気付いたら結構稼げていたので、この目標設定はお勧めです。
周りとコミュニケーションをとる
軽貨物ドライバーに限らないですが、人間関係を構築すると良いことがあります。トラブル処理であったり、エリア情報を交換したり、時間ロスを引き起こす原因をカバーしてもらえると、かなり助かります。
自社だけでなく、他社のドライバーとも、しっかりコミュニケーションをとることで、仕事の流れをいい方向に持っていく事が出来ます。
軽貨物ドライバーという働き方はまだまだ化ける
軽貨物ドライバーは、普通自動車免許さえ持っていれば誰でも簡単に始める事が出来ます。ですが、ECサービスの成長に合わせ、軽貨物運送業も変化していかなければ、AIに奪われる危険性もあります。これは軽貨物運送に限った事では無く現存する8~9割の仕事がAIで賄う事が出来ると言われています。少なくとも、それを計算に入れて行動している運送会社はどれくらいいるのでしょうか?
その変化に合わせていく事が出来るなら、軽貨物運送業で先輩ドライバーの昔のように3000万稼ぐ事も出来るかもしれませんね。
ここまで読んだ方で、『軽貨物運送業、ちょっとやってみたいな』と思った方は、下にロードマップのリンクを貼っておきますので、参考にしてみてください。